世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会で1月20日、量子コンピューティングへの投資加速化を受けた国際的なガバナンス原則を提案する報告書が発表された。
2021年の量子コンピューティング研究に対する国家政府の投資額は合計で250億豪ドル以上、ベンチャーキャピタル投資額は10億豪ドル以上となり、過去3年間の合計を上回った。
量子コンピューティングはビジネス、科学、政府、社会に破壊的な変化をもたらすと期待される一方で、将来のリスクに対処するための公平な枠組み作りが欠かせない。本報告書では、公共・民間部門にもたらされる量子関連の新たな機会に関するロードマップとして、世界の量子コンピューティングや法律の専門家、政府関係者らが共同で策定した原則を提示した。
共著者の一人であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の主任科学者ブロンウィン・フォックス(Bronwyn Fox)博士はこの原則について「CSIROの科学者が、責任ある量子技術への志を共有する世界のパートナーと行った対話を反映している。量子コンピューティングに責任ある変革を組み込むことは、量子の展開と普及を成功させるための鍵になる 」と語った。
このガバナンス原則は以下の9つのテーマに沿って設定された。
また、原則全体の中核的価値観として、以下の7つを挙げた。
この原則を策定した「量子コンピューティングガバナンス(Quantum Computing Governance)」イニシアチブでは、今後のステップとして、幅広いステークホルダーと連携し、これらの原則をより広範なガバナンスの枠組み及び政策アプローチとして導入することを計画している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部