2022年05月
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両親の糖摂取量が子の健康に及ぼす複雑な影響を解明 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は、同大学の生物学者らの研究により、親の糖摂取が子の健康 に及ぼす影響に関し、従来の考えを覆すような結果が得られたと発表した。3月10日付。この研究の成果は学術誌 Functional Ecology に掲載されている。

研究チームはミバエのオスとメス、その間に生まれた子にショ糖の含有量が多い餌と少ない餌を与え、すべての餌の組み合わせによる健康上の影響を観察した。

「従来の考え方に基づき、片方または両方の親と一致する(matched)餌を食べた子の方が長生きすると思っていた。しかし実際には、両親の餌が一致した場合(母と父の両方がショ糖の多い餌または少ない餌を食べた)、両親の寿命は長くなったが、子の寿命は短くなった。一方、両親の餌が一致しなかった場合、両親の寿命は短く、子の寿命は長くなった 」と、研究を率いた博士候補生のタラリン・カミッレーリ(Tara-Lyn Camilleri)氏は説明する。「つまり、親にとって最適な餌の組み合わせが、子にとっては最適でないかもしれないということになる」

この研究により、親の餌に含まれるショ糖の量による子の健康への影響は、寿命や繁殖、基礎的な生理機能等さまざまな形質に影響することが明らかになった。

「注目すべきは、親の餌の糖含有量だけでなく、母親、父親、子の糖摂取量の組み合わせも子の健康を決定するという点である 」と、カミッレーリ氏とともに研究を率いたダミアン・ドーリング(Damian Dowling)教授は語る。

この研究は、ヒトに対する将来の研究の基礎を築くとともに、進化の過程や、こうした影響の世代間の伝達について解明するうえで重要な手掛かりを残した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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