オーストラリアのメルボルン大学(University of Melbourne)は5月5日、同大学の研究者らが、国内のさまざまな組織が行っている気候変動対策(climate policy)の足並みを揃えるため、これらの対策の全国的なデータベースを作成し、人工知能(AI)で解析するプロジェクトを開始すると発表した。
排出削減目標の達成に向け、さまざまな政府機関や民間企業、非政府組織が独自の気候変動対策を策定している。しかし、こうした断片化された活動は、連携の余地がなく一貫性を欠いた計画につながるおそれがあると、同大学のキャスリン・デービッドソン(Kathryn Davidson)博士は指摘し、「対策の立案者が状況を把握し、行動を調和させる方法を見つけられるようにするためのデータ収集・分析システムが必要」と語る。
デービッドソン博士らは同国のあらゆる規模の企業、組織、政府機関を対象に、2011年~2022年の気候変動対策計画とそれらに関する報告書の提出を呼びかけている。
データベースは自然言語処理を用いて解析され、2011年以降の傾向を明らかにするための縦断研究に用いられる。
デービッドソン博士は「ビッグデータを活用してオーストラリアの気候変動対策の状況をよりよく把握できる機会を探ることができ嬉しく思う。これらの手法の成功は、高品質かつ包括的なデータセットが入手できるかどうかにかかっている」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部