オーストラリア政府が支援するスーパーコンピューティング研究施設「ポージー・スーパーコンピューティング・センター(Pawsey Supercomputing Centre)」は6月1日、世界初の室温で動作するダイヤモンドベースの量子コンピューターを、西オーストラリア州パースの同施設内に設置したと発表した。
オーストラリア・ドイツの量子コンピューティングスタートアップ「量子ブリリアンス」(Quantum Brilliance)が開発したこの「アクセラレーター」は、合成ダイヤモンドを利用し、あらゆる環境の室温で動作する。
量子アクセラレーターに使われた合成ダイヤモンド (提供:CSIRO)
今回の実地試験は、量子コンピューティングをスーパーコンピューティング施設に統合する初めての試みとなる。この量子アクセラレーターを同センターの最新HPE Crayスパコン「セトニクス(Setonix)」と組み合わせ、量子コンピューティングと古典コンピューティングとのハイブリッドモデルを実証する。
量子ブリリアンス社のアンドリュー・ホーズリー(Andrew Horsley)CEOは同社のビジョンについて「量子をメインフレームからメインストリームへと移行させ、携帯電話や車、業務プラットフォーム等で利用することにある」とし、「今回のコラボレーションは、この目標の達成に向けた第一歩となる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部