オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は6月9日、オーストラリアの海岸のプラスチック汚染が2013年に比べて29%軽減されたという調査結果を発表した。この調査結果を含む、地方政府の廃棄物削減活動を評価した研究論文は学術誌 One Earth に掲載された。
CSIROの最高経営責任者ラリー・マーシャル(Larry Marshall)博士は、「この結果は、地域社会や産業界、政府、調査機関がそれぞれの強みを生かす『チーム・オーストラリア』としてのアプローチによって達成しうる成果を示している」と語った。同機構が最近立ち上げた、プラスチックごみの80%削減を目指す「Plastic Waste Mission」はこのアプローチに重点を置いている。
プラスチックごみが減少したオーストラリアの海岸。CSIROの研究者は海岸の563カ所を調査したという (提供:CSIRO)
今回の研究では、広範囲の海岸ごみに関するCSIROの2013年の調査を基に、新たな海岸調査と地方政府の廃棄物管理者へのインタビューを行った。主任研究員のキャスリン・ウィリス(Kathryn Willis)博士は、「この研究は、地方レベルの意思決定が海岸のプラスチック汚染を軽減するうえできわめて重要であることを示した」と語った。
この研究では、地方政府の廃棄物管理戦略を、人間の行動に関する理論に基づき「計画された行動」、「犯罪防止」「経済的合理性」の3つに分類した。海岸ごみの削減に最も大きな効果を示したのは経済性に基づく管理戦略であった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部