オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、国内のワクチン・治療薬の生産能力を高めることを目的とした2,310万豪ドル(約22億円)規模の研究所をメルボルンに開設したと発表した。8月11日付。
この「国立ワクチン・治療薬研究所(National Vaccine and Therapeutics Lab)」では、ワクチンや医薬品の候補を、臨床試験に向け大量生産可能な製品へと育てる。現在、この過程は海外で行われており、同国がワクチン・医薬品の国内生産を目指すうえで欠けている「ミッシング・リンク(missing link)」となっている。
この研究所は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期に、CSIROが国内開発されたワクチン候補をスケールアップした際に成功を収めた実験的施設を前身とする。
CSIROの最高責任者であるラリー・マーシャル(Larry Marshall)博士は、「この研究所は、オーストラリア企業が直面している、研究室での開発から製品化への道のりを阻む『死の谷(valley of death)』を橋渡しする」と語った。
同研究所は、同国の橋渡し研究能力を高め、バイオテクノロジー領域の製造を強化して中小企業やスタートアップ、研究部門を支援することを目指す。
国内のワクチン・治療薬の生産能力を高めることを目的としたCSIROの研究所
(以下3点も同研究所)
(提供:いずれもCSIRO © NICK PITSAS)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部