2022年09月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2022年09月

国内開発のワクチン・治療薬の実用化へ研究所開設―「死の谷(valley of death)」を橋渡し オーストラリア

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、国内のワクチン・治療薬の生産能力を高めることを目的とした2,310万豪ドル(約22億円)規模の研究所をメルボルンに開設したと発表した。8月11日付。

この「国立ワクチン・治療薬研究所(National Vaccine and Therapeutics Lab)」では、ワクチンや医薬品の候補を、臨床試験に向け大量生産可能な製品へと育てる。現在、この過程は海外で行われており、同国がワクチン・医薬品の国内生産を目指すうえで欠けている「ミッシング・リンク(missing link)」となっている。

この研究所は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期に、CSIROが国内開発されたワクチン候補をスケールアップした際に成功を収めた実験的施設を前身とする。

CSIROの最高責任者であるラリー・マーシャル(Larry Marshall)博士は、「この研究所は、オーストラリア企業が直面している、研究室での開発から製品化への道のりを阻む『死の谷(valley of death)』を橋渡しする」と語った。

同研究所は、同国の橋渡し研究能力を高め、バイオテクノロジー領域の製造を強化して中小企業やスタートアップ、研究部門を支援することを目指す。

国内のワクチン・治療薬の生産能力を高めることを目的としたCSIROの研究所
(以下3点も同研究所)

(提供:いずれもCSIRO © NICK PITSAS)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る