オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は、重力波の光源を検出するプロジェクトであるGravitational-wave Optical Transient Observer(GOTO)の2カ所目の観測所が、ニューサウスウェールズ州のサイディング・スプリング天文台(Siding Spring Observatory)に設置されることを伝えた。7月22日付。
GOTOは、英国のウォーリック大学(University of Warwick)とモナシュ大学が開始し、現在、10機関が参加する国際共同プロジェクトである。既にスペイン領カナリア諸島ラパルマ島で試作システムの試験を成功させており、今回、英国科学技術設備会議(STFC)から320万ポンドの助成金を得て本格運転用の施設を展開する。
重力波は中性子星やブラックホールの衝突や合体により発生すると考えられている。2015年に米国のAdvanced LIGOプロジェクトによって初めて重力波が直接検出され、それ以降も検出されているが、LIGOのような観測施設では、重力波が通過する局所的な領域(local patch)への影響しか測定できないため、発生源を突き止めることは難しい。
GOTOは重力波の発生源を示す電磁スペクトルの光信号を検出することにより、この観測上のギャップを解消することが目的。モナシュ大学のダンカン・ギャロウェイ(Duncan Galloway)准教授は、「新たな観測所は、重力波の対応天体(counterpart)を観測できるチャンスを大いに高める」と期待を膨らませた。
サイディング・スプリング天文台の観測所には、ラパルマ島の観測所と同様に、16基の広視野光学望遠鏡が設置される。チームはLIGOとイタリアのVirgo重力波検出器による2023年の観測運転への参加に向けて、2022年内に両観測所の運転を開始する予定である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部