2022年09月
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機械学習で患者の状態悪化を早期に警告するツール開発 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の科学者らが、患者の状態が悪化していることを医療関係者に早期に警告する機械学習ツールを開発した。8月24日付け発表。

クイーンズランド州のプリンセス・アレクサンドラ病院とその運営機関Metro South Healthの共同研究であり、研究成果はネイチャー・リサーチ(Nature Research)が発行する学術誌 Scientific Reports に掲載された。

(Credit Stephen Andrews.)

(提供:いずれもCSIRO)

この警告アラートは、現在の臨床基準に基づき起動されるアラートよりも2~8時間前から、悪化のリスクのある患者をモニタリングできることが分かった。

集中治療を専門とするPrincess Alexandra病院の医師デービッド・クック(David Cook)氏は、このツールは大病院での予期せぬ患者の状態悪化を管理するための有用かつ導入可能な方法だと語った。

CSIROは現在、このツールの機能を実証し、臨床ワークフローに導入する最適な方法を探索するための臨床試験に向けてパートナーと協議を進めている。

CSIROの科学者サンカルプ・カンナ(Sankalp Khanna)博士によると、医療従事者が電子医療記録(EMR)を含むデータを活用して、患者のバイタルサインが危険な領域に達しそうなことを予測できるようになったという。「これまでEMRの全てのデータを活用して患者の健康状態を予測する方法は存在しなかった。この新たなツールは医療システムの日常的な機能を変革する可能性がある」とカンナ博士は期待を込めた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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