オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究者が、オーストラリアのコウモリからフィロウイルス(filovirus)の抗体を初めて検出した。8月17日付け発表。
それによると、マードック大学とともに発表した論文に詳細が記載されており、2005年から2017年にかけて採取した46検体から、フィロウイルスに反応する抗体が見つかった。この論文の主任研究員であるCSIROのPrincipal Research Scientistグレン・マシュー(Glenn Marsh) 博士は、エボラウイルスなどいくつかの種類のフィロウイルスは、人や非ヒト霊長類に重篤な疾患や致命的な疾患を引き起こすことがあるが、「今回の発見は直ちに懸念すべきものではない。この未知のフィロウイルスが人に感染するかどうかを判断するのは、時期尚早です」と述べた。
フィロウイルスによる人や動物への感染は、これまでオーストラリアで検出されたことはないという。
この研究では、2005年から2017年の間にオーストラリア全土のマイクロバットおよびメガバットから、ほとんどが他の研究のために採取された190のサンプルを検査した。その結果、46検体がフィロウイルスに反応し、9検体がエボラウイルスとレストンウイルスにより特異的に反応することが分かった。この反応の性質から、科学者たちは、これらのコウモリが生涯のある段階で、現在知られていないフィロウイルスにさらされた可能性が高いと見ている。
マードック大学の講師であるベサニー・ジャクソン(Bethany Jackson) 博士(野生動物衛生疫学)は、この研究により、野生動物の予防衛生と公衆衛生活動に関する国家間の協力関係の重要性がより一層高まったと述べている。