2022年10月
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微小球リソグラフィ技術でより薄く安価なペロブスカイト太陽電池の製造手法を開発 オーストラリア

オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は、同センターとオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)、Melbourne Centre for Nanofabrication の研究者が共同で、より薄く、安価で、効率性に優れたペロブスカイト太陽電池を作製する新たな方法を発見したと発表した。9月8日付け。この研究の成果は学術誌 Nano Energy に掲載された。

同センターとCSIROの研究者が先駆的に開発してきた「バックコンタクト型(back-contact)」ペロブスカイト太陽電池は、電極をペロブスカイトの下に配置することで従来の「サンドイッチ型」よりも効率よく太陽光を利用できる。しかし、その作製に用いられるフォトリソグラフィ技術は高額で時間がかかり、商用生産には不向きとみなされていた。

今回、研究チームはこの問題を克服するため、「微小球リソグラフィ(microsphere lithography)」という技術を用いた低コストで規模拡大可能な生産方法を開発した。この手法では、小さなポリスチレンビーズが水面に集合して形成される層を、電極アレイを作成するためのマスクとして利用する。研究者らは、この手法によりバックコンタクト型ペロブスカイト太陽電池の電力変換効率を2倍(4.4%から8.6%)に向上できるだけでなく、製造コストを大幅に削減できることを示した。

筆頭著者であるモナシュ大学(Monash University)の博士候補生シキ・デン(Siqi Deng)氏は、「フォトリソグラフィと比べ、微小球リソグラフィは装置の性能を向上させるだけでなく、バックコンタクト型ペロブスカイト太陽電池の作製や研究へのハードルを大幅に下げることができる」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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