オーストラリアの国家科学機関である連邦科学産業研究機構 (CSIRO) は、クリーンエネルギーの研究、開発、展開のリーダーである米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所 (NREL) と了解覚書 (MoU) を締結した。これにより、再生可能エネルギー、送電網、水素、プラスチック廃棄物に関連する分野での研究協力はさらに強化される。
風力と太陽光は、オーストラリアで最も安価な発電の源という
(iStock © Ezume Images, 2015)
協定に調印する豪と米の関係者
(提供:いずれもCSIRO)
同協定はシドニー・エネルギー・フォーラムで、 CSIROの最高責任者であるラリー・マーシャル(Larry Marshall)博士とNRELの科学技術担当副研究所長兼最高研究責任者であるピーター・グリーン(Peter Green)博士が署名した。
マーシャル博士は同協定について「2つのトップレベルのエネルギー研究機関が協力して、国中のエネルギーシステムで科学的イノベーションと技術的イノベーションを促進するという約束を交わしたことを意味する」と説明。同協定は太陽光、エネルギー回復力、世界電力システム改革同盟、プラスチック研究に関する2つの機関の既存のコラボレーションに基づく。パートナーシップはオーストラリアの国益と密接につながるものであり、水素と送電網の耐障害性、プラスチック廃棄物の削減、オーストラリアでのクリーンな水素産業の構築などCSIRO の主要な研究活動が含まれるという。
マーシャル博士は「重要なことは、オーストラリアの科学機関が米国の国立研究所や産業界と提携し、世界規模でネットゼロ・エネルギー技術のコストを下げる最先端の研究を主導する新しい機会への道を切り開くことである」と強調した。
NREL のグリーン博士はこの協定により、「両研究機関の協力関係が拡大されることを期待する。我々は協力して両機関が持つ知的能力、研究能力、インフラ能力を活用し、世界的なエネルギー転換の実現に関連する喫緊した課題に取り組んでいく」と表明した。
この協定に基づき、CSIRO と NREL は当初、オーストラリアにとって戦略的に重要な4 分野に集中して作業を行う。4分野とは、水素、世界電力システム改革 (G-PST)、プラスチック、世界のエネルギーの未来を変える可能性を秘めている中小企業 (SME) 向けのアクセラレーター/インキュベータープログラムだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部