オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、同国全土のコアラの推定個体数を把握するため、同機構の「全国コアラモニタリング(National Koala Monitoring)」プログラムを開始すると発表した。10月31日付け。
眠そうなコアラ
(Image by Mat Gilfedder)
コアラは簡単に識別できるが、その個体数となると、私たちの知識にはギャップがある
(Image Cuatrok77 via Flickr)
タニヤ・プリバセック(Water Tanya Plibersek)環境・水資源相は今年9月に、この活動に対して今後4年間で1,000万豪ドル(約9億円)を出資すると発表した。1月にはオーストラリアのコアラは、環境保護・生物多様性保全法(Environment Protection and Biodiversity Conservation Act)(1999年)の下で「絶滅危惧種(Endangered)」に指定されている。
同プログラムは今回の段階を通じて、コアラの種全体の個体数における傾向をモニタリング・評価するための長期的な能力を構築することを目指している。全国的に一貫した手法を用いてコアラの目撃情報を収集し、市民科学者らと共に調査のノウハウを構築する。
CSIROのアンドリュー・ホスキンス(Andrew Hoskins)博士は「パートナーシップはこのプログラムの中核を成している。オーストリアを象徴する動物であるコアラの個体数を回復できる唯一の方法は、あらゆる人々を巻き込むことだと認識している」 と語る。
CSIROのアンドリュー・ホスキンス(Andrew Hoskins)博士(左)ら研究チーム
(提供:いずれもCSIRO)
同プログラムでは既に、クイーンズランド州の北部マレー・ダーリング流域(Northern Murray Darling catchment)で、アボリジニのレンジャーらと協力して調査やワークショップを開始している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部