オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO) は、都市中心部の医療専門家が地方の開業医に対し、拡張現実(AR)技術を利用して指導するプロジェクトについて報告した。11月16日付け。同プロジェクトは、CSIROのAus4Innovationプログラムが資金提供した。
ARはコンピューターで作成された3次元コンテンツによって、現実世界が拡張される没入型体験技術だ。本プロジェクトで開発している技術では地方の病院や診療所の医師はAR用ゴーグルを装着し、中心部の病院の専門家とつなぎ、見たものを共有しながらリアルタイムで患者の処置を進めることができる。この技術により、重篤な状態にある農村部の患者を移動することなく、中心部の一流の医療専門家による相談と支援をより安価に、より包括的に提供できることが期待される。
病院の IT スタッフらは、医師にタイムリーな技術サポートを提供するためのトレーニングを受けており、他のスタッフをトレーニングするのにも適した立場にある
本プロジェクトはオーストラリアのタスマニア大学とベトナムのハノイにあるバックマイ病院との共同で実施し、ベトナムの地方にあるイエンバイ病院での試験運用に成功した。この技術を利用した両病院の医療従事者の約90%が、この技術が非常に有用で効果的であると評価し、患者の94%がバックマイ病院の医師がイエンバイ病院をサポートすることで、適切な治療が提供されることに対して満足していると評価している。
この技術の応用によって、地方の医療従事者に実地訓練の機会を提供し、中央レベルの専門家から迅速な支援を受けることも可能になる
(提供:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部