地球の周りの宇宙空間は急速に混みあってきている。地球を周回する衛星は約8千個あり、その数は今後5年から10年で10万個に達すると予想されている。他の物体と宇宙ごみを追加すると、非常に混雑した場所になる。
衛星の秩序を保つには、十分訓練された監視が重要となってくる。オーストラリアのSilentium Defence社は、世界最高レベルの監視システムを持つ。その1つが、独自のパッシブレーダー技術を使用する監視システムだ。パッシブレーダーは、同社のモットーである「見られずに見る」ことを可能にする。防衛分野で人気があり、宇宙に浮かぶ物体の状況把握を向上させるために利用することもできる。
(提供:オーストラリア産業・科学・資源省)
Silentium社は、オーストラリア宇宙庁の国際宇宙投資イニシアチブから助成金を受け取り、南オーストラリア州のスワンリーチに世界レベルの観測所を建設した。この観測所からは最大視野で地球低軌道の物体を観測できる。パッシブレーダーとニューロモーフィック・イメージング技術を組み合わせて使用する予定である。この種のものとしては南半球で初めてであり、国際宇宙産業にとって重要なデータを提供する指標となる。
Silentium社のCEOであるジェームス・パルマー(James Palmer)博士は、「私たちの観測所のセンサーが必要とする電力、メンテナンス、インフラコストは現在の監視技術よりも少なくて済む。このため、費用対効果が高く、導入は容易になる」と述べる。
さらに宇宙の交通をマッピングし、軌道上の物体の軌道を予測することができる。この技術はリモートでも操作可能だという。「私たちのパッシブレーダーセンサーは、世界中のどこからでもリモートで操作でき、既存の送信機からメガワットの送信電力を活用できる」とパルマー氏は話した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部