オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は1月9日、同院とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)の研究者が、機械学習を用いて、ポリマーの電荷移動と発光を効果的に制御する方法を解明したと発表した。研究成果は学術誌 Chem に掲載された。
(提供:ARC Centre of Excellence in Exciton Science)
分子が鎖状に連なったポリマーは、分子の配置パターンによってさまざまな視覚効果を生み出すことができる。しかし、目的の効果を得られるように分子を配置するには試行錯誤を繰り返すしかなく、実用化の制限となっていた。
同センターの研究員であるロイヤルメルボルン工科大学(RMIT University)のナスタラン・メフタヒ(Nastaran Meftahi)博士は、分子の内部と分子間で生じる挙動をよりよく理解できるように機械学習モデルを訓練した。チームはこのモデルから得られた情報をもとに、光、化学物質、エネルギー等の刺激に反応して目的の色を表示する分子の鎖を作成することに成功した。また、作成したポリマーを情報暗号化装置に活用する方法を示した。
ナスタラン博士は「全ての色を作る方法を教えてくれる機械学習モデルを得たことで、全スペクトルを網羅できた。このモデルは実験的研究を高速化し、試行錯誤では見つからないものを発見してくれる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部