オーストラリアのディーキン大学(Deakin University)は1月16日、同大学フロンティア材料研究所(Institute for Frontier Materials)の研究者らが、リチウム金属バッテリーの劣化を防ぐうえで重要な「リチウムクリープ(Li creep)」現象に関する機構を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌 Journal of Power Sources に掲載された。
今回の研究は、リチウム金属が時間と共に変形する現象であるリチウムクリープが、パウチ型リチウム金属バッテリーのセパレーターを劣化させる仕組みを示した。セパレーターはバッテリー内部の短絡を防ぐうえで重要な役割を担っており、その機械的完全性(mechanical integrity)が失われると、バッテリーの故障や発火につながる。
研究を主導した工学者モジタバ・エフテカルニア(Mojtaba Eftekharnia)氏はこの研究について、「現在の商用セパレーターは次世代の高エネルギー密度バッテリーに対応できず、機械的要件を満たす新しいバッテリー用セパレーターの開発が必要であることを示している」と語った。
同氏は、研究の次段階として「機械的強度を含むさまざまな要件を満たすセパレーターの開発」に関心を持っているという。
この研究は、エネルギー業界の次世代の人材を開発することを目的に設立されたオーストラリア研究会議(ARC)のTraining Centre for Future Energy Storage Technologies (storEnergy)を拠点として行われた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部