2023年02月
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新たな保護膜でCZTSSe太陽電池の変換効率を向上させる方法開発 オーストラリア

オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は1月16日、メルボルン大学(University of Melbourne)を拠点とする同センターの研究者らが、結晶化度を高める一時的な保護膜を導入することにより、薄膜太陽電池のエネルギー変換効率を20%向上させることに成功したと発表した。中国・中南大学(Central South University)との共同研究の成果であり、研究論文は学術誌 Advanced Functional Materials に掲載された。

(提供:ARC Centre of Excellence in Exciton Science)

銅、亜鉛、スズ、硫黄-セレン(CTZSSe)を用いた薄膜太陽電池は、空気や湿度による劣化に強く、次世代の太陽光発電技術として有望視されている。しかし、CTZSSeの粒成長(grain growth)を促進するための熱処理により生じる分解によって性能が低下する。

今回、研究チームは、チオシアン酸第一銅(CuSCN)の中間層を挿入することにより、この問題の解決策を発見した。この層はセレンと裏面電極のモリブデンの間に生じる望ましくない反応を抑制する。

筆頭著者であるメルボルン大学の博士課程学生イーシオン・ジー(Yixiong Ji)氏はこの研究について「このタイプの太陽電池の非常に重要な問題の1つが解決されたと考えている」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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