2023年02月
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腸内細菌叢の代謝物質が高血圧の軽減に寄与 オーストラリア

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は1月10日、同大学生物科学(School of Biological Sciences)のフランシーン・マーケス(Francine Marques)准教授らが行った臨床試験の結果、短鎖脂肪酸(short-chain fatty acid:SCFA)が高血圧患者の血圧を低下させうることが示されたと発表した。研究成果は同日付けで学術誌 Nature Cardiovascular Research に掲載された。

過去10年間の実験的研究により、SCFA等の腸内細菌叢で作られる物質が血圧を制御することが示されてきた。マーケス准教授が主導した過去の研究でも、SCFAである酢酸と酪酸の投与により、動物モデルの血圧が低下した。

今回、同准教授のチームは、20名の高血圧患者を対象に、酢酸と酪酸を大量に生成する発酵性食物繊維「酢酸化・酪酸化高アミロース含有トウモロコシ(acetylated and butyrylated high amylose maize:HAMSAB)」を用いたプラセボ対照ランダム化臨床試験を行った。

その結果、HAMSABを投与された高血圧患者では、24時間収縮期血圧が6.1 mmHg低下した。「これは降圧薬1剤に相当し、重要な臨床的意義を持つ」と論文筆頭著者のハムディ・ジャマ(Hamdi Jama)博士は語る。さらにHAMSABは酢酸と酪酸を産生する細菌に有利なように腸内細菌叢の構成を変化させることも明らかになった。

マーケス准教授は「このアプローチは、高血圧や循環器疾患の有病率を減らすために役立つ可能性がある」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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