オーストラリア(豪州)のシドニー大学(University of Sydney)は2月21日、740万豪ドルを投資して量子技術施設を拡大し、同大学のシドニーナノサイエンスハブ(Sydney Nanoscience Hub)内に「Future Qubit Foundry」を設立すると発表した。
この施設は未来の量子コンピューター技術の開発における国内の主要拠点として、量子コンピューターの大規模な運用と社会での実用化を目指す。
シドニーナノサイエンスハブのクリーンルーム内部
(提供:シドニー大学)
同大学のエマ・ジョンストン(Emma Johnston)副学長代理(Deputy Vice-Chancellor)(研究)は、「このファウンドリは先端量子技術の研究におけるシドニー大学のリーダーシップを活用し、我々を量子ビットの次世代設計の最前線に位置付けるだろう」と語った。また「この施設は、豪州の未来の量子技術の運用に必要な量子人材の教育も支援する」と、人材開発における重要性も強調した。
大規模で動作する量子コンピューターは、従来のコンピューティングでは解決できない医薬品設計や暗号化、工学などの問題を解決できる可能性がある。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、豪州の量子技術は2045年までに60億豪ドルの産業に成長すると予測している。
新たな施設は同大学が量子コンピューティング研究において既に持つ強みを活用し、次世代の量子ビットの発明に必要な研究や産業界とのパートナーシップを促進すると期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部