オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月8日、空気中から炭素を除去して永久的に閉じ込める(lock away)方法の開発を目的とした2,000万豪ドルの研究プログラム「CarbonLock」を開始すると発表した。
CarbonLock の研究者は、直接空気回収(DAC)のための新しい気液接触コンセプトを調査する
CarbonLockプログラムを率いるCSIROのアンドリュー・レントン(Andrew Lenton)博士は「ネガティブエミッション技術(空気中から炭素を除去し貯留する技術)は、産業革命前と比較した世界の気温上昇を2度よりもはるかに低く抑えるための有望な道筋を提供しており、オーストラリアのネットゼロ達成目標にとって非常に重要である」と語る。
同プログラムでは直接空気回収(DAC)の新材料の開発や、空気中の二酸化炭素(CO2)を岩石と反応させて石化する「その場での鉱物炭酸化(in-situ mineral carbonation)」に関する技術も研究する。
CarbonLock の研究者は、鉱物の炭酸化を強化するための新しい電気化学的経路を特定する
CSIROの主任科学者ブロンウィン・フォックス(Bronwyn Fox)教授は、同プログラムは炭素回収技術や貯留技術を含む次世代の炭素閉じ込め技術に関するあらゆる科学を統合するものであると説明し、「科学のブレークスルーを促進し、パートナーと連携して気候変動の脅威への革新的な解決策を創出することを目指すCSIROの取り組みの素晴らしい一例である」と語った。
研究者は、炭酸化の貯留層エンジニアリングに関するフィージビリティスタディを実施した
(提供:いずれもCSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部