オーストラリアのマードック大学(Murdoch University)の気候科学者らが、西オーストラリア州政府およびポージー・スーパーコンピューティング研究センター(Pawsey Supercomputing Research Centre)と共同で、同州内各地の気候を75年先まで予測する地域気候モデリング(regional climate modelling)プロジェクトを実施する。オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が3月10日に公表した。
作成される地域の気候予測データは、インフラ計画や、農業・生物多様性保全等の気候の影響を受けやすい部門に有益な情報をもたらすと期待される。
マードック大学のジャティン・カーラ(Jatin Kala)博士は「全球気候モデルは地球全体の大規模な気象パターンのシミュレーションには役立つが、地域の用途には適していない。我々の新しい高解像度地域予測は、例えばパースとは異なるバンバリーの気候を予測するための地域特有の情報を提供する」と解説する。
研究者らはポージーの最新スパコン「セトニクス(Setonix)」を用いて、全球気候モデルの長期的な予測力と地域モデルの解像度を併せ持つモデルの作成を目指す。
カーラ博士は、これらの地域気候データは、2100年までの予測を提供し、気温上昇や暴風雨等の気候関連ハザードに備えた対策を支援すると語る。最初の予測データは2024年に気候科学者に提供される見込み。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部