2023年05月
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ホルモン「TCAP」にカキのストレスを抑える効果、心疾患治療に役立つ可能性 オーストラリア

オーストラリアのサンシャインコースト大学(University of the Sunshine Coast)の研究チームが、カキの研究を通じて、テヌリンC末端関連ペプチド(Teneurin C-Terminal Associated Peptide:TCAP)というホルモンが心臓や免疫系の機能を改善できる可能性があることを明らかにした。3月22日付け発表。

同大学のトメル・アブラモフ(Tomer Abramov)博士とアビゲイル・エリズール(Abigail Elizur)教授らは、天然のホルモンであるTCAPを用いて豪州固有のカキ「Sydney Rock Oyster」の成長期のストレスを軽減できるかどうかを調べた。

この研究の結果、TCAPは予想よりも幅広い抗ストレス効果を持つことが明らかになった。エリズール教授は新たな発見について、「我々は、TCAPがカキの免疫系への影響を通じてストレスを防ぐことを初めて示した。非常に少量のTCAPを与えるだけで、免疫細胞はカキがストレスを全く受けていないかのような振る舞いを示した」と説明する。アブラモフ博士は「TCAPがカキの心拍を50%以上遅くすることを発見した」と述べた。

博士らは、この研究成果は水産養殖に影響をもたらすだけでなく、より高度な動物や人間の医療にも利用できる可能性があると考えている。エリズール教授は「TCAPは現在、人への臨床試験でうつや不安の治療、血糖値の制御への効果を研究されているが、我々の研究は、TCAPのより多くの可能性を示している」と指摘する。アブラモフ博士は「心疾患や免疫機能に影響する疾患の治療等、臨床利用の研究に向けた新たな道が開かれた」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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