オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は4月21日、不動産データ分析企業コアロジック・オーストラリア(CoreLogic Australia)と共同で、豪州全域の住宅のエネルギー効率を推定する新たな人工知能(AI)システムを試験運用すると発表した。
AIモデル「RapidRate」の組み合わせで住宅の冷暖房負荷の推定値とエネルギー効率の星評価を生成する
(出典:CSIRO)
このシステムでは、コアロジック社の持つ40年間の包括的な不動産データと、CSIROの独自開発AIモデル「RapidRate」を組み合わせ、住宅の冷暖房負荷の推定値とエネルギー効率の星評価を生成する。
このシステムにより得られたインサイトは最初にコアロジック社の銀行・金融部門の主要顧客に提供され、その後ほかの市場セグメントへの提供も計画されている。豪州では1993年より全豪住宅省エネ性評価システム(NatHERS)の枠組みに基づいて新しい住宅のエネルギー効率が評価されているが、このデータは容易に利用できず、また、NatHERS以前に建てられた住宅に関するデータは限られていた。
CSIROの最高責任者であるラリー・マーシャル (Larry Marshall) 博士は、このAIシステムは、豪州が掲げる「2050年までの排出量ネットゼロ」目標の達成を促すためのCSIROによる実践的方策の一例であるとし、「全国の住宅のエネルギー効率を改善することは、排出を削減し、エネルギーとエネルギー費のより長期的な節約につながる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部