オーストラリア政府は5月3日、同国初の「国家量子戦略(National Quantum Strategy)」を発表した。
この戦略では「2030年にオーストラリアが世界の量子産業におけるリーダーとして認識されており、繁栄し、公正で、包摂的な(inclusive)オーストラリアにとって量子技術が不可欠な要素となっている」というビジョンを掲げ、その実現に向けた5つのテーマと行動を提示している。テーマと行動の概要は以下の通り。
- 盛んな研究開発の促進、量子技術への投資および量子技術の使用
- 1.1 センシング、通信、コンピューティングにおける量子の利用拡大の奨励
- 1.2 エコシステムの成長を促す奨励策の支援
- 1.3 量子企業・技術のパイプラインの育成
- 重要な量子インフラストラクチャ・材料へのアクセスの確保
- 2.1 研究開発向けの量子インフラに関する全国的な監査
- 2.2 国内量子産業に影響するサプライチェーンの課題や機会の積極的監視
- 高スキル人材の創出および育成
- 3.1 「国家量子コラボレーションイニシアティブ(National Quantum Collaboration Initiative)」の実施と量子技術分野の博士(PhD)への奨学金の支給
- 3.2 量子人材に関する報告書の公表
- 3.3 学校のSTEM教育プログラムへの量子科学の導入
- 3.4 世界の量子人材の誘致に向けた施策の検討
- 国益にかなう標準および枠組み
- 4.1 機会を最大化しリスクを管理するための規制策・枠組みの確立
- 4.2 AUKUS(豪英米の安全保障枠組み)やQuad(日米豪印戦略対話)を含む既存の枠組みや今後の協定を通じたパートナーとの協力の強化
- 信頼できる倫理的で包摂的な量子エコシステムの構築
- 5.1 責任ある包摂的な量子技術の開発と利用に向けた原則の策定
- 5.2 量子の国際標準策定機関への豪州の確実な参加
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部