オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は6月22日、豪政府が掲げる人工知能(AI)の8つの倫理原則(Ethics Principle)について、それを実践する方法を検討した報告書『Implementing Australia's AI Ethics Principles : A selection of Responsible AI practices and resources』が発表されたことを明らかにした。報告書は、同機構が運営を調整する国立AIセンター(National AI Centre)が、非営利研究機関Gradient Instituteと共同で作成した。
(出典:CSIRO)
報告書では、豪州の企業が責任あるAIを開発するために役立つシンプルながら効果的なアプローチとして、影響評価、データキュレーション、公平性尺度(fairness measure)、パイロット研究、組織的なトレーニング(organisational training)等の慣行を挙げている。
Gradient Instituteらが最近発表した「Australian Responsible AI Index」によると、豪州企業の82%が責任ある方法でAIを利用していると考えているが、責任あるAI慣行に従うための実際的な対策を講じている企業は24%に満たない。
国立AIセンターのステラ・ソーラー(Stela Solar)所長は、多くの企業は急速に変化する環境に責任ある方法で対応しながら顧客の期待に応える方法を知らないと述べ、「この報告書は責任あるAIに向けたアプローチの構築を支援することを目的としている」と語った。
報告書は同センターが最近発表したエコシステム横断プログラム「Responsible Artificial Intelligence (AI) Network」を通じて作成された最初の出版物となる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部