オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の新たな研究により、人工知能(AI)アルゴリズムを用いてデジタル健康プログラムに対するユーザーのエンゲージメント(参加の度合いや状況)を改善できる可能性があることが明らかになった。7月19日付け発表。この研究成果は学術誌The Journal of Medical Internet Researchに発表された。
豪州では疾病負荷の8%が肥満、5%が食事リスクに起因しており、生活習慣を変容させるための保健介入の重要性が高まっている。近年ではデジタルツールを用いたプログラムも開発されているが、こうしたプログラムを成功させるには、ユーザーの良好なエンゲージメントを保つことが不可欠となる。
CSIRO の今回の研究は、大規模なオンライン商業減量プログラムのデータを分析するという世界初の試みだという
(出典:CSIRO)
この研究では、CSIROのオンライン減量プログラム「Total Wellbeing Diet」のユーザー59,000人超を対象に、機械学習を用いてエンゲージメントを予測することを試みた。結果、利用開始から3週目以降にプログラムから離脱(disengage)する時期を、ユーザーのアクティビティに基づき正確に予測することに成功した。
論文の筆頭著者であるCSIROのオーストラリアeヘルス研究センター(Australian e-Health Research Centre)のアイダ・ブランコヴィツ(Aida Brankovic)博士は、こうしたプログラムにおけるユーザーのエンゲージメントを示すエビデンスはこれまでほとんど存在しなかったと指摘し、「この情報を基に、デジタルの保健介入をさらに個別化し、長期的な生活習慣の変容をよりよく支援できる可能性がある」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部