オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月26日、傘下のオーストラリアeヘルス研究センター(Australian e-Health Research Centre)の研究者ロジータ・シシェガー(Rosita Shishegar)氏らが、データサイエンスを用いてアルツハイマー病研究を大きく前進させうる技術を開発していることを公表した。
疾患の予測や予防に人工知能(AI)を活用するには大量のデータが必要となる。しかし、アルツハイマー病に関するデータの収集は費用がかかるだけでなく、患者や介護者にとって困難な作業である。
「この問題の解決策の1つは既にあるデータを活用することだが、様々な国の既存のデータセットをまとめる際、国やコホートによってデータ収集の手順が異なることが問題となる」とシシェガー氏は語る。
(出典:CSIRO)
そこでシシェガー氏は、これらの様々なデータセットを調和・整合させるアルゴリズムを開発し、世界最大規模のアルツハイマー病のデータセットを構築した。「十分なデータがあれば、AIは非常に正確な予測を行い、我々は疾患の発症や進行についてより多くを知ることができる」とシシェガー氏は説明した。
現在、複数の研究グループが関わる国際共同チームが、このデータセットを用いてアルツハイマー病の危険因子と、それらの患者の転帰への影響を研究している。シシェガー氏は「この情報を用いて、アルツハイマー病患者や家族の生活に変化をもたらせることを願っている」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部