2023年09月
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機械学習とロボットでペロブスカイト太陽電池の開発を自動化 オーストラリア«動画あり»

オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は8月15日、同センターのメンバーが、ペロブスカイト太陽電池の開発やテストを自動化する世界初のロボットシステムを構築したと発表した。チームはこのシステムを用いて、人間の介入なしで電力変換効率16.9%の再現可能なペロブスカイト太陽電池を作製しており、その成果は学術誌Advanced Energy Materialsに発表された。

これまでペロブスカイト太陽電池の開発では、高い効率が達成されても再現が困難であるという問題があった。モナシュ大学(Monash University)、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)を拠点とする共同研究チームは、自動化によりこの問題を解決することを試みた。

(出典:CSIRO)

チームはこのシステムで生成されたデータを使用して、新たなペロブスカイト太陽電池の「レシピ」を大量に予測できる機械学習モデルを開発した。専門技術を要するスピンコーティング法は使用しないことで、自動化を容易にした。

システムを開発したモナシュ大学のアダム・サーミアック(Adam Surmiak)博士は「人間では2~3年かかる研究を、このシステムでは2~3週間で達成できる」と語った。このシステムは、試作品の作製に伴う欠陥や再現性の問題を解決し、太陽電池の開発期間を大幅に短縮できると期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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