2023年09月
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新たな防汚材料「SCALS」の極薄コーティングを可能へ、ナノ構造を解明 豪シドニー大学

豪シドニー大学(University of Sydney)は8月17日、同大学の研究者らが、画期的なコーティング材料として注目されるslippery covalently-attached liquid surface(SCALS)の重要な性質に関連するナノ構造を明らかにしたと公表した。この研究成果は化学誌Angewandte Chemieに発表された。

滑りやすい表面上の液滴
© Isaac Gresham

SCALSは汚れに対する滑落性が非常に高く、液滴をはじきやすい性質を持つ。環境中で無害な物質へと分解される原料を用いるため、「永遠の化学物質」と呼ばれるパーフルオロポリマー(perfluorinated polymer)を代替する持続可能な付着防止材料として注目されている。

この材料の「液体のような(liquid-like)」性質を保ちながら、極薄の層として固体表面に付着させるために必要な条件はこれまで明らかにされていなかった。

チームは単一分子力分光法(single-molecule force spectroscopy)と中性子反射率測定法(neutron reflectometry)を用いたナノスケールの分析により、SCALSの性質にとって重要な物理・化学的特性を明らかにした。

「SCALSが効果的であるには、分子が長すぎも短すぎもせず、密度が大きすぎも小さすぎもしない、ちょうどよい状態(Goldilocks zone)が必要であることがわかった」と論文共著者である同大学のキアラ・ネト(Chiara Neto)教授は語る。

キアラ・ネト(Chiara Neto)教授(中央)ら研究チーム
© Isaac Gresham
(出典:いずれもシドニー大学)

この研究の成果は、SCALSの効果的な設計に向けた新たな可能性を開くと期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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