オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、グリーン水素を用いた重工業の脱炭素化を支援するため、管状固体酸化物電解(tubular solid oxide electrolysis:tSOE)技術の商用化を目指していることを明らかにした。8月24日付け。
CSIROの研究者ら
(出典:CSIRO)
固体酸化物電解は重工業の工程で発生する熱を電解に利用できるため、アルカリ水電解やプロトン交換膜(PEM)水電解よりもエネルギー効率が高く、大規模な水素製造に適している。
CSIROが開発するtSOEは、セラミックの管を用いて水蒸気を水素イオンと酸素イオンに電気分解する。焼結セラミックや入手が容易な金属を材料とするため安価に製造でき、水素と共に高付加価値な化学物質の原料となる合成ガス(水素と一酸化炭素の混合物)を効率的に生産できる利点もある。さらに、セラミック管の本数を増やすことで容易に規模拡大できる。
CSIROは新たに設立した企業であるハディアン(Hadean)を通じてこの技術の商用化を目指している。次のステップとして工業規模でのテストを目指しており、現在は豪州最大手の鉄鋼メーカーであるブルースコープ(BlueScope)と共同で、大規模な電解装置の構築に取り組んでいる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部