メルボルン大学(University of Melbourne)の研究者らが、抗生物質に耐性を持つ菌を効果的に破壊できる、画期的な創傷感染症の治療技術を開発した。9月13日付け発表。この技術の有効性を実証した研究の成果は学術誌Advanced Therapeuticsに発表された。
抗生物質に耐性を持つスーパー耐性菌(superbug)の出現は世界の健康上の脅威となっており、創傷治癒の分野ではこの問題を克服する新たな治療が切望されている。
今回、同大学と南オーストラリア大学(UniSA)の共同研究チームは、前臨床試験に基づき、黒リン(black phosphorus)を用いた新たなナノ技術が感染症の治療と創傷の治癒に有望であることを示した。
動物モデルを用いた試験の結果、この技術により、スーパー耐性菌として知られる黄色ブドウ球菌を含む複数の種類の薬剤耐性菌細胞を99%破壊できることが示された。この治療法は7日間で80%の創傷治癒(wounds closing)をもたらし、感染の除去と治癒の促進において抗生剤と同等の効果があることを示した。
このナノ材料は創傷被覆材や医療機器の材料に統合して使用できる。チームは、産業界と連携してこの技術の開発と試作品作製を進めたいと考えている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部