オーストラリア・英国の両政府は11月1日、「AI安全サミット(AI Safety Summit)」が開催された英ブレッチリーパークで、量子技術における協力強化に向けた共同声明に署名した。

共同声明に署名する豪州のエド・ヒュージック産業・科学担当相(右)と、英国のミシェル・ドネラン・科学・イノベーション・技術担当相
©Rory Arnold / No 10 Downing Street
(出典：豪政府)

共同声明は、次の目標に向けた豪州と英国の協力の道筋を示している。

• 両国の企業間の投資の奨励
• 研究と専門知識の共有

協力の目的および分野としては次を掲げている。

• 量子技術の新たな理論的・実際的な利用方法の探索
• 量子技術に関する共同研究・開発・技術交換の促進
• 信頼に基づく量子世界市場の構築
• 量子業界の拡大に向けた機会の創出
• 共通の経済的繁栄と安全保障の促進
• 機密技術の保護
• 協力的・互恵的な技術交換の支援
• 共同の量子技術標準の策定
• 科学技術に関する既存の二国間・多国間の協力枠組みの活用

協力を強化する手段としては次を挙げている。

• 二国間の既存の取り決め(engagement)における量子分野の強化
• 情報交換、量子に関する実際的な取り組みの確認、協力状況の評価を目的とした「量子政策対話(Quantum Policy Dialogue)」を含む、量子技術に関与する両国の政府高官による定期的な会合の開催
• 共同声明の特定の項目を推し進めるための実務レベルの会合の開催

豪州は2021年に米国とも、量子技術に関する同様の共同声明を採択している。豪政府は、これらの共同声明は、豪州が志を同じくする国々と量子に関する考えや資源を共有し、同国の量子企業の新たな市場へのアクセスを後押しすることにつながるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部