2024年01月
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セメント・石灰業界でのCCUS技術に関するロードマップを作成 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、豪州のセメント・石灰業界の排出削減に向けた二酸化炭素(CO2)回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の利用に関するロードマップを作成した。

このロードマップは政府の出資を受ける研究機関「Heavy Industry Low Carbon Transition Co-operative Research Centre(HILT CRC)」が委託したもので、策定には豪州のセメント業界団体やセメント製造企業が協力した。

セメントは世界で最も使用されている人工材料。セメント業界は最も衰退することが難しい業界の1つだという
© Rafael Ben Ari

セメント・石灰産業は、排出量の大部分がエネルギー使用ではなく製造プロセスそのものから発生しており、最も削減困難な産業の1つである。

オーストラリアのセメントおよび石灰産業のカーボンニュートラルを達成するためには、サイト固有の炭素回収、利用、貯蔵技術が不可欠だという
© iStock
(出典:いずれもCSIRO)

このロードマップではCCUS技術を導入可能な豪州のセメント・石灰プラントを特定し、優先事項の評価に基づき、さらに分析が必要なCCUS技術として以下を指定している。

  • 回収技術(吸収液を用いた燃焼後回収(post-combustion capture)、カルシウムルーピング・極低温プロセス、プラント改造技術としてカリックス(Calix)社のLEILACなど)
  • CO2から燃料、化学品、炭酸塩への変換
  • 地中貯留のためのパイプラインや船舶によるCO2輸送

ロードマップの共著者であるCSIROのハイ・ユ(Hai Yu)博士は、「CCUSは今後、この部門の排出削減に向けた最も重要な方法になる。今こそ未来への準備を始めるときだ」と語った。

(2023年11月30日付発表)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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