オーストラリアの国立AIセンター(National AI Centre)が同国の人工知能(AI)エコシステムに関する報告書を発表した。この中で、AI研究の方向を、既存の国内産業の強みを生かす商業機会に向けることで、AIのグローバルリーダーとしての豪州の地位を確固としたものにできるとの見解を明らかにした。
この報告書は『Australia's artificial intelligence ecosystem - Catalysing an AI industry』と題し、豪州の「AI月間(AI Month)」の期間中に発表された。企業、投資家、政府、研究機関などに向けて、豪州のAIエコシステムの最新の分析と、これを発展させる方法を示した。
同報告書によると、豪州のAI研究は世界のAI研究の1.6%を占めるが、豪州の発明者によるAI特許は世界の0.2%に過ぎない。研究に対する特許を確保することで、自国のイノベーションからより多くの利益を生み出せる可能性がある。
筆頭著者であるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のステファン・ハイコヴィッチ(Stefan Hajkowicz)博士は、豪州はAIの専門分野を集中的に強化すれば、世界市場での優位性を高められると指摘し、「この報告書では、豪州が世界的に競争力の高いAIの開発国(maker)・輸出国になるために役立つ可能性がある31の用途分野を特定しており、その上位5分野は畜産、医療テクノロジー、園芸、検眼、皮膚科学である」と述べた。
CSIROが2023年12月6日付で発表した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部