2024年01月
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豪州のAIエコシステムが急成長―研究成果の商用化に課題も CSIRO報告書

オーストラリアの人工知能(AI)エコシステムに関する最新の報告書『Australia's AI Ecosystem Report 2023』が、同国の連邦科学産業研究機構(CSIRO)により発表された。それによると、豪州には若く敏捷なAIエコシステムが急速に成長している一方で、研究成果の商用化という課題があることが明らかになった。

最新の報告書によると、オーストラリアに本社を置くAI企業は544社あり、創業年数の中央値は6年とのことだ
(出典:CSIRO)

この報告書は企業や投資家、政府、研究機関に向け、豪州のAIエコシステムの現状と発展に向けた道筋を示している。今回得られた知見には以下のようなものがある。

  • 豪州に本社を置く「AI企業」(AI製品やAIサービスの開発・販売を主な事業とする企業)は544社ある。この数値は、人口や面積の差を考慮した場合、カナダなどのAIリーダー国と同等とみなすことができる。
  • 上記のAI企業のうち396社が過去10年間、204社が過去5年間に創業しており、創業年数の中央値は6年間であった。
  • 上記のAI企業のうち296社が、シドニー、メルボルン、ブリスベン、パース、アデレードに形成された8つのクラスターに立地していた。
  • 研究出版ペースに基づく、豪州が世界に対して優位性を持つAI利用の上位3分野は、畜産、医療検査(medical laboratory)技術、園芸であった。
  • 豪州のAI研究開発(R&D)部門はAIに関する世界の知識生産(研究出版)の1.6%に貢献している一方で、AIに関する特許発明への貢献の割合は0.2%であった。

豪州国内のAIエコシステムの状況を追跡したこのような調査は、政府や企業が豪州産AIの成長を促進するための政策や戦略を立案するうえで有用なデータとなる。

CSIROが2023年12月11日付で公表した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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