オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は1月28日、統合された顧客中心の次世代エネルギーシステムの実現を目標とした同機構の「Smart Energy Mission」で、豪州のエネルギー転換における課題を把握するため、ステークホルダーからの意見聴取(stakeholder consultation)を実施したことを発表した。
意見聴取は2023年11月に実施された。23の多様な組織から参加した政策立案者、イノベーター、プランナー、投資家、アドボケイト(擁護者・支持者)、学者などさまざまな関係者との8週間にわたる議論の結果、日常的にエネルギーを使用する人々からの信頼できるデータが不足しており、エネルギー転換が社会全体に及ぼす影響が十分に理解されていないことが浮き彫りとなった。
ジョン・ガードナー(John Gardner)博士 © JOSEPH BYFORD
(出典:CSIRO)
同ミッションを担当するジョン・ガードナー(John Gardner)博士は、「国民の反応は非常に重要であり、現在、国民への理解は不足している」と指摘する。同じく同ミッションを担当するチャーリー・ミア(Charlie Mere)氏は包摂的なアプローチの重要性を強調し、「(アドボケイトや学者らは)エネルギー転換の利益から除外される人々について懸念している」と述べた。
再生可能エネルギーへの転換において人々が直面している課題には、経済的障壁や、遠隔地におけるロジスティクスの問題、在宅医療機器を使用する人々への電気の安定供給、電気自動車インフラの不足などがある。
CSIROは、このような多様な課題を考慮することで、真に包括的で持続可能なエネルギー転換へと前進できるとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部