2024年03月
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目薬の点眼が不要に、緑内障治療の眼内インプラント技術で臨床試験 豪州

眼科向けテクノロジーを手掛ける豪州の企業ポリアクティバ(PolyActiva)が豪政府の2つのベンチャー投資支援プログラムを活用し、緑内障(glaucoma)等の眼疾患の治療を目的とした画期的な眼内インプラント技術を開発している。豪産業・科学・資源省(Department of Industry, Science and Resources)が2月22日付で発表した。

緑内障は失明の最大の原因となっており、世界の患者数は8,000万人に上る。この疾患の治療には目薬を毎日点眼する必要がある。同社の技術は、眼内に埋め込んだポリマー製の小さなインプラントから薬剤を直接、少しずつ持続的に流し込むことで、目薬の点眼を不要にする。

現在、豪州とニュージーランドで、同社の主力製品であるインプラントの臨床試験が行われている。同社はこの技術の開発にあたり、バイオメディカル分野の研究の商用化を支援する豪政府のエクイティ共同投資プログラム「Biomedical Translation Fund(BTF)」を通じて1億4,600万豪ドルの出資を受けた。さらに税制優遇プログラム「Venture Capital Limited Partnerships(VCLP)」を通じた減税措置も活用している。

豪州では、バイオテクノロジー分野の研究開発を臨床試験段階に至るまで支援できるベンチャーファンドは多くない。BTFやVCLPのようなプログラムは、革新的なアイデアを持つ中小企業(SME)やスタートアップを支援することで、同分野のイノベーションを促進し、国内産業の発展に寄与している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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