2024年04月
トップ  > 大洋州科学技術ニュース> 2024年04月

光触媒を用いた水分解でグリーン水素製造技術開発 豪スタートアップ企業

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は3月1日、豪アデレードを拠点とするスタートアップ企業スパーク・ハイドロジェン(Sparc Hydrogen)が、同機構と共同で、光触媒を用いた水分解(photocatalytic water splitting:PWS)技術を用いた次世代グリーン水素製造技術を開発していることを公表した。

(出典:CSIRO)

同社のPWS反応装置(reactor)は、集光型装置で集めた太陽光エネルギーを、電気に頼らずに水素に変換する。従来の電気分解と比較して必要な設備やエネルギー消費量が少なく、グリーン水素エネルギー製造のためのコスト効果の高い代替手段となる可能性がある。

同社は中小企業・スタートアップの研究開発を支援するCSIROの「キックスタート(CSIRO Kick-Start)」プログラムの下で、CSIROの太陽光熱工学チーム(Solar Thermal Engineering Team)と共同研究を行った。チームはニューキャッスルにあるCSIROのエネルギーセンター(CSIRO Energy Centre)で、自然太陽光下でこの装置の試作品を試験した。太陽光熱工学チームのリーダーであるウィル・ガーナー(Wil Garner)氏は「複数の太陽光下(on-sun)試験で水素ガスを生成することに成功した。このプロセスは実験室での試験の成果を検証し、今後の試験に向けた設計上の改良点を見つけることにつながった」と語る。

同社はPWS技術の商用化を目指しており、2024年中にエネルギーセンターでさらなる試験を行うほか、パイロットプラントの建設も計画している。同社はこの技術のさらなる開発にあたり豪政府から50万豪ドルの助成金を授与されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る