オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が3月5日、同機構が開発し、印刷により作製したフレキシブルな最先端ペロブスカイト太陽電池が、宇宙空間での性能を検証するため軌道に投入されたことを発表した。関連する研究成果学術誌はACS Applied Energy Materialsに掲載された。
この太陽電池は、豪州の宇宙輸送プロバイダー「スペース・マシンズ・カンパニー(Space Machines Company)」が開発した豪州最大の民間衛星「Optimus-1」に搭載され、スペースX(SpaceX)の「Transporter-10」ミッションの一部として打ち上げられた。太陽電池の小型モジュール8基が衛星の表面に取り付けられている。
印刷されたフレキシブル太陽電池技術は、豪州最大の民間衛星で宇宙に打ち上げられた
© Space Machines Company
(出典:CSIRO)
CSIROの宇宙プログラム(Space Program)を率いるキンバリー・クレイフィールド(Kimberley Clayfield)博士は、質量が小さく効率の高い電源システムの実現は宇宙機の開発における大きな課題の1つであると述べたうえで、「この太陽電池は将来の宇宙運用や宇宙探査のための、信頼性が高く軽量なエネルギーソリューションとなりうる」と語る。
CSIROの再生可能エネルギーシステムグループ(Renewable Energy Systems Group)を率いるアンソニー・チェスマン(Anthony Chesman)博士は予想される試験成果として、「これまでの研究に基づき、我々の太陽電池は、従来の太陽電池では性能低下を招く宇宙の電子やガンマ線の影響に耐えると予想する」と語り、「衛星からのフィードバックは、我々の技術の実用に関する貴重な洞察をもたらし、今後の技術開発の指針となるだろう」と期待を込めた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部