オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、生成AIの基礎を成す「基盤モデル(foundation model)」が、豪州に生産性向上や経済の強化、産業の変革をもたらす可能性があるとする報告書を公表した。3月28日付発表。
基盤モデルは大量のデータを用いた学習により広範囲の複雑なタスクを実行できるようになったモデルであり、オープンAI(OpenAI)のChatGPTやマイクロソフト(Microsoft)のCopilot、グーグル(Google)のGeminiといったAIで使用されている。
同報告書は、基盤モデルを取り巻く世界の状況と、豪州においてそのリスクを最小化し利益を最大化するための機会について概説している。
筆頭著者のステファン・ハイコヴィッチ(Stefan Hajkowicz)博士は、豪州の産業やサービスにおける基盤モデルの利用について、「これらのモデルが示すデータ分析のスピード、パワー、並外れた規模は、重要な課題の解決や生産性向上、命を救うことに役立つ可能性がある。例えば、医療では患者の医療記録における複雑な関係を読み解くことを可能にし、ヒューマンエラーによる誤診断を14万件以上減らせる可能性がある」と述べた。
豪州が基盤モデルを最大限に活用して国民に利益をもたらすための機会としては、国際的連携の形成に加え、公的部門のAIモデルの開発、ハイパフォーマンスコンピューティングへのアクセスの民主化、データセットの共有、スキルアップの促進が挙げられている。
CSIROのデジタル・国立施設・国立コレクション(Digital, National Facilities & Collections)担当事務局長(Executive Director)のエレノア・ハンティントン(Elanor Huntington)教授は、「この報告書が基盤モデルをより利用しやすくし、議論のきっかけとなり、豪州における基盤モデルの能力の成長を促進することを期待している」と語った。
(出典:CSIRO)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部