2024年05月
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資金調達や宇宙技術開発など、量子部門の成果を発表 豪政府

オーストラリア産業・科学・資源省(DISR)は4月14日、豪州の量子部門における大きな成果として、以下を紹介した。

  • 量子技術ソフトウェア企業キュー・コントロール(Q-CTRL)は、2023年7月にシリーズBラウンドで、量子ソフトウェア企業として過去最高額の5,400万米ドルを調達した。同社の量子インフラストラクチャソフトウェアはIBM Quantumの従量課金(Quantum Pay-As-You-Go)プランのオプションとして採用された。
  • 高精度タイミング・量子センサー技術開発企業クオンテックス・ラブス(QuantX Labs)は、高精度なタイミングリファレンス装置の開発に対し、宇宙技術開発を支援する豪政府の「Moon to Mars Demonstrator」プログラムから370万豪ドルの助成金を獲得した。

世界で最も精密な時計の心臓部にあるサファイアクリスタル
Credit: QuantX Labs

  • マッコーリー大学(Macquarie University)など4大学のパートナーシップであるシドニー量子アカデミー(Sydney Quantum Academy)は、DISRの出資を受けて、豪連邦政府の「国家量子戦略」の主要要素の1つである「国家量子コラボレーションイニシアティブ」を運営している。
  • 世界初のスケーラブルな誤り訂正(error corrected)量子コンピューターを開発する企業シリコン・クオンタム・コンピューティング(Silicon Quantum Computing)は、豪政府やオーストラリア・コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of Australia)などから出資を受け、2023年7月にシリーズAラウンドで5,040万豪ドルを調達した。

シドニーのニュー・サウス・ウェールズ大学内にあるシリコン・クオンタム・コンピューティングの研究所
Credit: Silicon Quantum Computing
(出典:いずれもDISR)

  • オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と4大学の共同事業であるポージー・スーパーコンピューティング研究センター(Pawsey Supercomputing Research Centre)は2024年2月、米エヌビディア(Nvidia)のCUDA Quantumコンピューティングプラットフォームを導入すると発表した。
  • 室温で動作するダイヤモンドベースの量子アクセラレーターを開発する企業クオンタム・ブリリアンス(Quantum Brilliance)は2023年2月に2,600万豪ドルの資金を調達した。
  • シドニー大学(University of Sydney)は2023年2月に、740万豪ドルを投資して量子技術研究設備を拡大し、新施設「Future Qubit Foundry」を設置することを発表した。
  • シリコン「量子ドット」技術を用いた量子プロセッサを開発する企業ディラク(Diraq)は2023年7月にニュー サウスウェールズ州の「Quantum Computing Commercialisation Fund」から300万豪ドルの助成金を獲得した。
  • CSIROは量子センサーを用いた磁場検出技術LandTEMを開発し、この技術は世界各国の鉱床探査で使用されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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