オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は4月17日、シンガポール海事港湾庁(MPA)と、海事部門の排出削減を目標とした20万豪ドルの計画「低排出技術に関する豪州・シンガポール共同イニシアティブ(Australia-Singapore Initiative on Low Emissions Technologies(ASLET)」を実施することを発表した。
(出典:CSIRO)
このイニシアティブは、両国政府が協力に合意している「グリーン・デジタル海運回廊(Green and Digital Shipping Corridor)」の形成を支援することを意図している。新たな燃料ソリューションの開拓や温室効果ガス排出量をゼロまたはほぼゼロ(near-zero)にする技術の大規模な開発・導入を目指し、研究・実証・商用化を促進するとともに、グリーンな海運・港湾インフラ計画における両国間の協力機会を探索する。
MPAのテオ・エン・ディ(Teo Eng Dih)長官は、「ASLETは、両国の科学界による研究成果を実用化につなげ(translate)、これらの技術を用いた低排出燃料・技術の大規模な生産や展開を促進できる可能性がある」と語った。
第1回のASLET運営委員会会議(4月19日開催)では、重点分野に沿ったプロジェクトの策定と海事部門の脱炭素化における共同の取り組みを促進するための助成制度(grant call)を発表し、両国はASLETの下でプロジェクトの実施を支援するため、10万豪ドル相当を出資するとしている。また、産業界からも共同出資を呼び込めると期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部