2024年06月
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最先端技術がスポーツにもたらす変化を紹介 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は5月15日、人工知能(AI)をはじめとする最先端の科学がスポーツにもたらしている変化をまとめ、同機構のスポーツ科学への取り組みを紹介した。

アスリートのデジタルツインはパフォーマンス評価とテクニック改善を可能にする
(出典:CSIRO)

豪州のアスリートがオリンピック・パラリンピックに向け準備する一方で、スポーツ科学者らは、AIや量子センシングを駆使して、スポーツのパフォーマンスを高めるためのさまざまな技術を開発している。主な技術には以下のようなものがある。

アスリートの体調管理や怪我の防止に役立つAI技術

  • 生体情報トラッカーを用いた個々の選手のパフォーマンスのモニタリングや怪我の予防
  • 選手の生体情報のプロファイリングや怪我の予防、ドーピング検査への量子技術の活用
  • デジタルツインによる選手のパフォーマンスのテスト・予測

スポーツの分析を向上するAI技術

  • 選手の動きやボールの追跡(トラッキング)
  • センサーやカメラとAIを組み合わせた選手やチームのパフォーマンス分析

条件を公平にするAI技術

  • アマチュアスポーツの親やコーチも利用できる、チームの動きや試合に関する情報が得られる低価格のスマートフォンアプリ
  • AIとカメラによるボランティア審判員の補助

スポーツ愛好家向けのAI技術

  • ウェアラブルデバイスによる運動の目標達成の支援
  • 個人の運動レベルや目標に合わせたトレーニングの作成

AIの倫理問題

スポーツでのAI利用やアスリートの健康データの収集に関しては倫理面での懸念も高まっている。オーストラリア・スポーツコミッション(Australian Sports Commission)らは、アスリートデータの使用におけるプライバシー・安全性・サイバーセキュリティ対策を含む、スポーツでのテクノロジー利用に関する基本方針や安全措置の策定に取り組んでいる。

スポーツ科学の未来に向けて

CSIROは大学院生の研修を助成する「Next Generation Graduates Program」にスポーツに特化したプログラムを設け、次世代のスポーツ科学人材の育成に取り組んでいる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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