オーストラリア産業・科学・資源省(Department of Industry, Science and Resources)は5月21日、オーストラリア連邦政府が豪州のバッテリー産業の発展に向けた「国家バッテリー戦略(National Battery Strategy)」を発表したことを伝えた。
この戦略は、豊富な天然資源や人材といった豪州の強みを活かしながら、国内のバッテリー産業を発展させ、経済の強靭性を確保するための枠組みを示している。特に、豪州にとって価値の高い機会をもたらす以下のバッテリー技術に重点を置いている。
- エネルギー貯蔵システム
- バッテリー活物質
- 製造業への供給(manufacturing industry inputs)
- 安全で高セキュリティなバッテリー
また、優先事項として以下の5つを掲げている。
- 経済の強靭性を高め、豪州の比較優位を活かし、豪州経済に価値を付加する方法で、バッテリー製造能力を構築する。
- 国内産業による雇用(Australian-made jobs)を創出・確保するための知識とスキルを構築する。
- バッテリーのグローバルサプライチェーンにおける豪州の地位を確立する。
- 持続可能性、基準、循環経済において世界を先導する。
- あらゆるレベルの政府を協調させる。
この戦略に基づき、5月に発表された連邦政府の2024-25年予算には、多様かつ競争力のある豪州のバッテリー産業を構築するための以下の計画が盛り込まれている。
- Battery Breakthrough(5億2320万豪ドル): 製造インセンティブを通じたバッテリー製造能力の開発促進
- Building Future Battery Capabilities(2030万豪ドル): バッテリー研究人材の育成研修を含む産学連携の促進
- バッテリー特区(Australian Made Battery Precinct)の設置支援(560万豪ドル): クイーンズランド州と連携して国内のバッテリー製造強化のための特区を設立
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部