オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は、将来の宇宙ミッションでの活用を見据え、月面試料中で発見された鉱物「アーマルコライト」を検出する技術を開発している。6月3日付け発表。
アーマルコライトは二酸化チタン鉱物で、マトリックスに埋め込まれた小さく細長い結晶を形成する
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アーマルコライトは1969年のアポロ11号計画で持ち帰られた月の土壌(レゴリス)試料内で初めて発見された二酸化チタン鉱物であり、ミッションに従事した3名の宇宙飛行士、ニール・アームストロング(Neil Armstrong)、バズ・オルドリン(Buzz Aldrin)、マイケル・コリンズ(Michael Collins)にちなんで命名された。
アーマルコライトはその後地球上のいくつかの地域でも発見されたが、非常に希少であるため、経済的な利用価値は見出されていない。しかし、CSIROの現地資源利用(In-situ Resource Utilisation:ISRU)施設が現在取り組んでいる宇宙資源の検出・処理装置の開発により、この鉱物を大量に検出し、活用することが可能になるかもしれない。
CSIRO ISRU施設の月レゴリスチャンバー
(出典:いずれもCSIRO)
ISRUに所属するCSIROの地質学者ジェーン・ホジキンソン(Jane Hodgkinson)博士は、「私たちは現在、レゴリスのセンシングやふるい分け、選別の技術を開発しており、この技術はアーマルコライトを検出できる可能性が高い。チームには宇宙金属工学(astrometallurgy)の専門家がおり、アーマルコライトやこれに類似するイルメナイトのような鉱物が十分な量で入手できれば、月への長期滞在を支える非常に重要な2つの要素、金属と酸素を作り出せるかもしれない」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部