2024年08月
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9カ国の共同研究で遺伝的多様性の指標を評価 豪CSIRO

オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は7月9日、同機構のレベッカ・ジョーダン(Rebecca Jordan)博士を含む豪州、メキシコ、南アフリカ、日本、フランス、米国、スウェーデン、コロンビア、ベルギーの科学者から成る国際共同研究チームが、種の保全の重要な要素である遺伝的多様性(genetic diversity)を測定するための指標(indicator)を評価したことを発表した。この研究の成果は学術誌Ecology Lettersに掲載された。

研究者らは、9カ国で900種以上の生物の5271個体群を対象に、遺伝的多様性を長期的に測定・モニタリングするため2つの指標を評価した
Graphic courtesy of The Coalition for Conservation Genetics (出典:CSIRO)

同じ種内における遺伝的多様性は、環境の変化に適応して種を存続させるうえで重要な要素である。2022年12月に国連生物多様性条約(Convention of Biological Diversity)締約国会議で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組(Kunming-Montreal Global Biodiversity Framework)では、地球規模での生物多様性の保全に向け、あらゆる種の遺伝的多様性の状況を報告するという目標に196カ国が合意している。

今回、研究者らは、9カ国において、900種以上の生物の5271の個体群(population)を対象として、遺伝的多様性を長期的に測定・モニタリングするための指標として以下の2つを評価した。

  • 個体群が遺伝的多様性を保持するのに十分な大きさである
  • 遺伝的に異なる複数の個体群を維持している

その結果、評価した種の過半数が個体群の大部分を保持していた一方で、遺伝的多様性を維持するには個体群が小さすぎると評価された種が58%に上った。

こうした指標を用いて遺伝的多様性を効果的に測定・モニタリングし、適切に対処することは、種の喪失を防ぐことにつながると期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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