2024年09月
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概日リズムの管理を助けるウェアラブルセンサーを開発 豪モナシュ大学

オーストラリアのモナシュ大学(Monash University)は8月21日、同大学の研究者らが、人が浴びている光を感知し、安眠、精神的健康の改善など、身体への影響を分析する世界で初めてのウェアラブルセンサー「MiEye」を開発し、商用化を進めていることを伝えた。

MiEyeはサイズが30mm x 27mm x 10mm、重量は10gの小さなウェアラブルデバイスであり、蛍光灯、LED、夕日、携帯電話やデバイスの光など、あらゆる種類の光源が装着者に及ぼす影響を記録する。これらのデータはスマートフォンのアプリに送信され、体内時計に対する周囲の光の影響が計算される。

概日生物学(circadian biology)の専門家でこの研究を率いた医学・看護学・健康科学部(Faculty of Medicine, Nursing and Health Sciences)のショーン・ケイン(Sean Cain)教授(非常勤)は「光環境に関するフィードバックを提供することで、人々に、さまざまな種類の光に晒されていることを意識してもらい、より健康的な光曝露パターンへと導くことを目指している。MiEyeは、概日リズムの管理を通じて、2型糖尿病やメンタルヘルス問題、循環器疾患、高血圧の治療を助け、全体的な健康や長寿に寄与する強力な臨床ツールとなる可能性がある」と語る。

MiEyeセンサーはこのプロジェクトの主な研究者らが設立した企業サーカディアンヘルスイノベーションズ(Circadian Health Innovations)を通じて商用化を目指しており、現段階では一部の研究者のみ入手できる。同社の共同設立者で最高技術責任者のアンドリュー・フィリップス(Andrew Phillips)准教授は「最終的には一般向けに提供することを目指している。特に時差ぼけに苦しむ人やシフト勤務の人に有用な可能性がある」と語った。

このセンサーは開発段階の2022年に、権威ある国際デザイン賞である「オーストラリアン・グッドデザイン賞(Australian Good Design Awards)を受賞している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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