2024年10月
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AIの使用に関する自主的な安全策を策定 豪政府

(出典:豪政府)

オーストラリア産業・科学・資源省(Department of Industry, Science and Resources)は9月5日、傘下の国立AIセンター(NAIC)が、豪州の企業による安全で責任と透明性あるAIの使用を支援する「自主的AI安全基準(Voluntary AI Safety Standard)」を策定したことを発表した。

この安全基準は、AIシステムやAIサービスを開発・調達・導入する豪州の企業・部門・業界に対し、人間中心のアプローチに基づき、AIの利益を認識し、AIがもたらしうるリスクを避けるための10の自主的な安全策を提示している。その概要は以下の通り。

  1. 説明責任プロセスの確立・実践・公表
  2. リスク管理プロセスの確立と実践
  3. AIシステムの保護とデータガバナンス対策の実施
  4. AIモデル・システムのテスト
  5. AIシステムへの人間による制御または介入を可能にする手段の確保
  6. AIを用いた意思決定ややり取り、コンテンツに関するエンドユーザーへの通知
  7. AIシステムの使用やその結果に異議を申し立てるプロセスの確立
  8. AIサプライチェーンに関与する他の組織に対する透明性の確保
  9. 第三者による安全策の順守状況を評価するための記録の保持
  10. 利害関係者との関係構築やニーズ・状況の評価

この安全基準は、企業が以下を行う上で有用となる。

  • 人々やコミュニティを害から守る
  • 風評リスクや金銭的リスクを避ける
  • AIシステム・サービス・製品に対する信頼を向上する
  • 法的要件や豪州国民の期待に応える
  • 国際経済の中でより円滑に業務を行う

豪州政府は現在、リスクの高い状況におけるAIの使用に対応するための、強制的な(mandatory)アプローチを含む方法を検討している。今回の安全基準はそのステップの1つであり、今後6カ月にわたって継続的に更新される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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