オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)は10月16日、豪州最大規模の配電網を運営する事業者エッセンシャル・エナジー(Essential Energy)と共同で、vehicle-to-grid(V2G)技術を家庭の電力管理システムの一部として使用する試験を行うと発表した。
EVに接続されたV2G充電器
V2G技術は電気自動車(EV)と家庭・電力網の間で双方向に電力を供給する技術であり、屋上のソーラーパネルで発電される電力の余剰分をEVに蓄え、需要ピーク時に家庭や系統に供給するといった活用方法に期待が寄せられている。
現在豪州では、規制面の問題もあり、EV所有者がV2G技術を利用できる状況は限られている。今回の試験は、豪州における普及への障害を特定し、この技術を建築物や電力網に統合する方法を理解することを目的としている。
消費者向け家庭用製品もV2G試験に含まれている
(出典:いずれもCSIRO)
このプロジェクトはニューサウスウェールズ州ポートマッコーリーにあるエッセンシャル・エナジー社のイノベーションハブを拠点として実施される。このハブには一般的な電化製品を備えた住宅型試験施設と、ソーラーパネル、EV「日産リーフ」に接続された双方向EV充電器が設置されている。研究チームは、これらの制御可能なエネルギー源と負荷を用いて、さまざまな家庭のシナリオを再現し、電力使用パターンや充放電挙動、ネットワーク安定性に関する幅広い実験を行う。
CSIROの輸送電動化(Transport Electrification)チームを率いるケイト・カバナー(Kate Cavanagh)氏は、「EVがどのように系統の安定化に寄与し、消費者自身によるエネルギー管理や自給自足の実現を促せるかを実証したい」と述べている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部