ニュージーランド政府は11月14日、超臨界地熱発電技術(SCGT)の可能性を探索する活動に投資するため、地域インフラ基金(Regional Infrastructure Fund)から最大6000万ニュージーランドドルの資金を分離することを発表した。
従来の地熱発電の掘削深度よりも深い地層に存在する大きなエネルギーを利用するSCGTは、ニュージーランド政府が目指す安定した強靭なエネルギー供給の確保や、再生可能エネルギーへの移行を支える新たなエネルギー源になりうると期待されている。
この計画を発表したシェーン・ジョーンズ(Shane Jones)地域開発相(Regional Development Minister)は、「SCGTで生成されるエネルギーの大きさは、水蒸気を用いて生成される現在の地熱エネルギーの3倍にもなる可能性があり、長期的にみてニュージーランドや世界にとってのゲームチェンジャーとなる可能性がある」と述べた。
このプロジェクトでは、上記の資金のうち500万ニュージーランドドルのみが最初に支給される。この資金を用いてニュージーランド北島のタウポ火山帯(Taupō Volcanic Zone)での探査井の掘削に向けた詳細設計や調査を行い、SCGTのための工学的技術が開発可能かどうかを判断する。
ジュディス・コリンズ(Judith Collins)科学・革新・技術相(Minister of Science, Innovation and Technology)は、このプロジェクトは長期的な計画であるとして、「政府は最初の探査井の掘削開始を2025年末までに決定し、2035~40年にこの技術を展開することを目指している」と述べた。
このプロジェクトはニュージーランド地質核科学研究所(GNS Science)とニュージーランドビジネス・イノベーション・雇用省(MBIE)が主導する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部